OEMで2種類のオリジナルジンを作った。
手前味噌だが、あまりにも信じられない出来映えで、毎日飲みたくなるほどの美味しさで、OEMとして手放すのがとても惜しくなってしまった。
一体この感覚は何なんだろうと自問自答した。
そしてたどり着いたのが、これが作品を世に送り出すということなのだろうかと。
勝手ながらこの感覚とTHA BLUE HERBのBOSSのリリックやインタビューなどで語っていることに勝手にシンパシーを感じてしまった。
とてもおこがましい話ではあるが。
こちらなんてモノづくりひよっこレベルではあるが。
皿は旅をする。
皿とはレコードであり、CDであり、音源、作品を意味する。
音源はリリースしてすぐに聴く人もいれば、数年後に聴かれることもある。
全く異なる世代、時代に聴かれることもある。
時を超えて旅をするのだ。
僕が2PACや尾崎豊、彼らの死後に彼らの音楽に出会ったように。
そして作品は作り手と受け手の解釈が異なる。
世代、時代、その人の環境によって異なる。
そういう意味では作り手が作品を発表し、受け手の元に届いた段階で、作り手のモノではなくなるのではないだろうか。
そんな気がしてならない。
作品に対するそのような僕の解釈が、今回僕が作ったジンに重なってしまい、ひとりでも多くの人に飲んでもらいたい気持ち、OEMの依頼をいただいた企業に喜んでもらいたい気持ち、納得いくモノを作れた自分への喜び、そしてそれらが僕の手を離れて全く違う世界に行ってしまう寂しさが入り混じってしまったのだ。
そんな想いをひっくるめて、ご依頼いただいた企業には「ボツにしていただいてもそれはそれで私のオリジナルとしてリリースしますのでヨロシク」という面持ちで提出した。
ひとりでも多くの人に届き、リアクションが返ってくることを願っている。